クロスインデックスの通訳・翻訳コーディネーターの雑感
フランス語の添削
[2012/12/06] フランス語の映画を観ていると、言葉の響きがとても美しいので、喜劇映画でさえもセリフが優雅に聴こえて来ます。フランス語は日本人にはどういうものか「洗練された」「音楽のような」「芸術的」言語であるように響くのではないでしょうか。そのせいか日本語には昔から「和製英語」と同じくらいの語彙数の「和製フランス語」が存在します。日本語で書かれたフランス料理店のメニューや、アパレル用語、広告のアイ・キャッチャーなどには、それら「和製フランス語」が混在し、日本では所謂「フランス語」として広く流布しています。ズボン(jupon)、コンシェルジュ(concierge)、シュール(sur)などがそれにあたります。但し、これら和製フランス語の中にはフランス本国ではすでに廃れ、死語となっているものも多々あります。あるフランス料理店から、新メニューのフランス語の添削をお請けしたことがあります。その際、フランス語ネイティブ話者の添削エキスパートが担当したフランス語添削に対し、お客様からいくつかのご指摘を頂きましたが、その内容は和製フランス語に「修正」するように、とのご要望であり「何故その和製フランス語を使用しないのか?」とのご指摘でした。それら「和製フランス語」は今現在のフランスでは用いられておらず、そのご指摘は現代のフランス語の語彙や用例とは感覚が異なっていた訳です。ことフランス語に限らず、言語も時代と共に変化します。時に和製フランス語を正すことも含め、生きたフランス語に直す添削をご提供することもまた、私ども翻訳会社の仕事の一つです。
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